- 作者: 立花隆,佐藤勝彦,長沼毅,皆川純,菅裕明,山岸明彦,重信秀治,小林憲正,大石雅寿,佐々木晶,田村元秀,自然科学研究機構
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/21
- メディア: 新書
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- 極限生物に見る地球外生命の可能性(長沼毅)
- 光合成に見る地球の生命の絶妙さ(皆川純)
- RNAワールド仮説が意味するもの(菅裕明)
- 生命は意外に簡単に誕生した(山岸明彦)
- 共生なくしてわれわれはなかった(重信秀治)
- 生命の材料は宇宙から来たのか(小林憲正)
- 世界初の星間アミノ酸検出への課題(大石雅寿)
- 太陽系内に生命の可能性を探す(佐々木晶)
- 宇宙には「地球」がたくさんある(田村元秀)
という豪華メンバーによる最新情報紹介で、このメンバーを見ただけで「買い」である。
大きく、前半の生物系、後半の天文系に分かれている。全く初耳という話はほとんどないが、関連トピックの網羅性は非常に高いと思う。今、ContactJapanをやるなら、まずこの一冊からと言えるだろう。
私にとって初耳だったのは光合成研究の最新情報で、強すぎる光を受けたときに植物はどうやってそれに対応しているのかという問題(NPQ問題)。排熱する仕組みが見えてきたということらしい。
タブー
実は本書で一番違和感を感じたのは地球外生命の研究が「科学ではタブーとされてきた」という言説が何度も出てくるところ。
かつては、まっとうなサイエンチストなら、「地球生物以外の宇宙生命体はない」と考える人の方が圧倒的に多かったろうが、「ケプラー」による系外惑星大量発見以後は「微生物程度のプリミティブな生物なら、地球生命以外の生命体が宇宙のどこかに存在しても不思議ではない」と考える人が、むしろ多数派にになりつつある。(p.239)
この立花隆の言い方を受け入れるなら、2010年以前は地球外生命を信じる学者は超少数派だったということになる。私はプロの天文学者でも生物学者でもないが、この説には非常に強い違和感を感じる。
スターウォーズやスタートレックに出てくるような宇宙人とかリトルグレイとかを信じる学者は確かに超少数派だったろうが、微生物レベルでもそうだったというのは本当なんだろうか?
なんとなく、天文系vs生物系という対立の構図を過剰に演出しているような気がする。