k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年2月号

軍事研究 2014年 02月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 02月号 [雑誌]

テロ対策、危機管理の新技術・新装備(阿部拓磨)

昨年10月に開催された「対テロ特殊装備展13」のレポート。装備だけでなくセミナー(昨年1月のアルジェの件をどうするか、など)もあったそうだ。そういったPSC(民間セキュリティ会社)のサービスは予想以上に充実しており、講演を行ったオリーブ・グループ社は、誘拐事件に対応した位置管理システムの提供や、果ては犠牲者が出た際の家族へのメンタルケアまでやっている。
装備の話では、リアルビズ社のシミュレータが面白い。「模擬銃をホースに置き換えることで消防対策向けのシミュレーターとしての使用を提案」(p.35)なのだそうだ。

飛躍的な性能向上!『軍艦の大砲』(多田智彦)

艦載砲の最新動向のまとめ。
艦これとかやっていると20センチだの36センチだの出てくるが、現在では76mmと127mmが中心。ただ、射程と精度、発射速度は段違いで、Mk45Mod4の場合、射程は37km、発射速度は16発/分。
ズムウォルト用に開発されたAGSは155mm。最大射程185km、CEPが50m。
電磁レール砲の開発も進んでおり、エネルギーが32MJのものが試験中。
レーザー砲は、LaWSが出力100kW、TLSが10kW、MLDが195kW。もちろん、電力や冷却装置、管制をどうするかという問題も解決しないといけないが。

米海軍『ズムウォルト』級(大塚好古)

3隻で建造中止になってしまったズムウォルト。ただ、技術的には将来の水上戦闘艦への影響は大きくなりそう。ちなみに、駆逐艦という分類だけれど、排水量は1万5千トンを超す。
この船、なんと乗員わずか130名。航空要員を合わせても158名というから凄い。

なお、運用については、地上攻撃・火力支援が主、他にステルス性と高速性を活かして沿岸部での特殊作戦支援が期待される。一方、防空・対潜能力は不足気味。

DARPAの懸賞金方式による軍用車輌開発(黒部明)

DARPAは色々な開発を行っているが、この記事では水陸両用歩兵車戦闘車の開発にクラウドソーシングを採用した助成方式を紹介している。
紹介されているのはFANG(迅速適応可能次世代陸上車)プログラム。駆動系、構造系、全体、の3ステージからなり、駆動系のコンテスト結果が昨年4月に発表されている。
もちろん、機密情報をどうするのか、本当に作れるのか、という課題もある。最終結果が出るのは2015年。

ジェイレンズ気球型レーダー(石川潤一)

昨年の12月号のグアムの記事にも出てきた、中共のCJ10ミサイルに対抗するための気球型レーダー。
実際、2012年の12月13日に日本の領空を侵犯した中共のY12は、低高度侵入を行い自衛隊のレーダー探知を避けたと言われている。それに対応するために新大綱には新型固定レーダーの設置と警戒機(E-2Cの代替とE-767の近代化)。
それに対応する手段の一つがこのJLENS。二機の係留式の気球で、風速36mでも運用可能。ただ、計画が遅れていて、2013年に生産移行の予定が2016年まで試験継続となっている。なお、この気球。小型版が国境監視などに既に使われているとか。
ただ、日本で使おうとすると運用のための用地確保、データリンクの準備、そして米軍との一体運用のための法的問題などが課題として残っている。


なお、カラーページの記事「西太平洋有事想定」では、中共が台湾侵略の際に実施すると思われる対日対米攻撃の想定も書かれていて、4波のうちの第2波が巡航ミサイルとなっている。

不朽の自由作戦のフォース・プロバイダー(福好昌治)

911テロ移行の米太平洋軍の作戦解説。在日米軍の一部がイラクやアフガンに派遣される一方、対北朝鮮の睨みも忘れていない(が、やはり万全とは行っていないようだ)。
あと、トモダチ作戦もこの時期になる。

徴兵制強化と即応予備制度で兵力維持(小泉悠)

ロシア軍のこの一年の総括。2回記事の1回目。
中共同様、ロシアも支出が不明確なのだが、増加傾向は明確。特に、装備更新の規模が大きい。
2013年の調達実績では、航空機とICBMの伸びが大きい。ICBMについては、年間9発という生産(ヴォトキンスク工場の生産能力の上限)だったが、生産能力を増強して増産したことになる。来年度はさらに増やすらしい。


一方、総兵力(100万人)については定数割れが起きており、充足率は8割程度。ただ、ロシア軍の伝統として「大量動員戦争」の準備というのがあり、この方針が維持される限り徴兵制は廃止できないようだ。

ペルシャ湾掃海回想録(6)(落合蔲)

今回は国民からの応援について。在留邦人にとっては非常に心強かったようで、感謝し感謝される様子が書かれている。バーレーンの日本人クラブで歓待してもらったそうだ。
現地で頑張る人にとっては、後方からの応援はやはり励みになるんだな。

日本版NSCの初仕事は北朝鮮粛正対処か(黒井文太郎)

国家安全保障会議設置法」と「特定秘密保護法」の解説。
前者については、常設の事務方(国家安全保障局)を置くというのがポイント。ただ、政策立案機能を持つはずがインテリジェンス機能も任されるようで、著者は「情報の評価にバイアスがかかる」ことを懸念している。また、内閣危機管理監との役割分担が不明確なことも懸念点。これにお役所の縄張り争いが絡むとまずい。
後者は、原則公開という私案を披露している。

沖縄最新事情:2013年下半期(芦川淳)

ヘイトスピーチ問題も取り上げられている。次から次へと下品な方法をやらかすんだね。


沖縄県警と米海兵隊憲兵との共同訓練があったそうで、フェンス際にいる不審者にどう職務質問するかなど。こういう訓練はやはり大事。

訓練と言えば、唖然としたのが、沖縄県庁が防災演習に米軍の参加を拒んでいるということ。神戸の教訓はちゃんと活かしてくれないと犠牲者が浮かばれないよ。

水中戦の主役「音響センサー」(井上孝司)

ソナーの原理はよく知られているけれど、対象は潜水艦と機雷だけでなく、ダイバーも含まれるのだそうだ。これは知らなかった。
また、最近のソナーは連続送信を行うものもあるそうだ。発信音波を変調しておけば、反射波の分析が可能になる。そして連続送信すれば連続追尾が可能になる

現地取材:フィンランド版中央即応集団(斎木伸生)

大規模構造改革中のフィンランド軍。なんと、空軍からヘリを全部とりあげて、特殊部隊に統合。おまけに基地まで取り上げたという。装備については来月号で紹介。