k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2014年4月号

特集は福島原発事故。副題に「1000日ドキュメント」とある。
何が起きたか、そのあとどう推移したから、最近の課題は何で、長期的な課題は何か、といったあたりを丁寧に解説している。原子炉内部の状態とかは、もちろん推定が多いのだろうな。
震災の後の特集も良かったけれど、今回のも力の入った特集。定期的(2年に1回くらいかな?)に状況の整理と知識のアップデートを続けて欲しい。


この部分だけでも、電子化して売ったらいい。いい加減な本が多くまともな本が目立たないという問題があるが、ニュートンはブランドもあるから有用だと思う。


廃棄物処理の研究として漏洩防止があるが、これがウラン鉱床が生成されるメカニズムの研究と繋がっているというのは、なるほどと思った。確かに集まる仕組みが分かれば拡散を防止する技術になるものな。

火の玉のメカニズム (p.7)

雷の観測をしていた分光カメラが火の玉の撮影に成功。それを分析したところ、発光成分からシリコン、鉄、カルシウムが検出され、落雷の衝撃で土壌の鉱物が気化しそれが燃えていることが分かったというもの。

STAP細胞(pp.10-)

論文内容大丈夫か、という疑義が最近呈されているけれど、記事は論文の解説。検証実験(全体がSTAP細胞でできたキメラマウスがどういう位置づけになるかなど)も解説されている。
今後は初期化メカニズムの検証やヒト細胞での実験などが要注目。
また、STAPでのヒトクローンが現在の規制に引っかからないというのは面白い指摘。

三角関数(pp.104-)

先月号の続き。今回は微積分や関数の直交性を解説してフーリエ変換まで。
ニュートンで人気の高い天文記事に繋げる(ALMA望遠鏡の観測結果である空間周波数スペクトルを周波数分解して逆フーリエ変換し、重ねると空間輝度分布になる)ところはいい解説。

ナミブ砂漠(pp.120-)

日本人がイメージする「砂一杯の砂漠」に近い写真が並んでいる。(ラクダは写ってないけど)

ゾウ(pp.138-)

ゾウが水を飲むときは一旦鼻で吸い上げてそれを口に入れているが、あれが全体のどのくらいまで入っているかは分かっていない。
ゾウの先祖が海中生活をしていたという説があり、腎臓の仕組みがその裏付けの一つ(8区画に区切られている構造で、クジラやホッキョクグマと似た特徴)なのだが、なんと鼻をシュノーケルのように使っていたという説もあるとか。なんかイラスト想像すると笑える。


ゾウの猟と言えば象牙目当てが大半だったが、食文化もある。この辺をどうするかというのが課題になっているそうだ。クジラで噴き上がっている活動家ってゾウはどう捉えているんだろう?

4月号掲載の「STAP細胞」に関する記事について

(3/14 追記)
STAPについて、編集部よりコメントが出ていた。

科学雑誌『Newton』は,2014年1月29日に理化学研究所から発表されたプレスリリースと1月30日付の『Nature』に掲載された2編の学術論文の内容に基づき,理化学研究所笹井芳樹グループディレクターと山梨大学若山照彦教授への取材を経た上で,「STAP細胞」の解説記事を2014年4月号(2月26日発売)に掲載いたしました。
しかしながら,『Nature』論文中の図や記述に不適切な点があるとの指摘が相次いだことを受けて理化学研究所が調査を開始し,論文の共著者でもある若山教授が論文撤回を呼びかける事態となっております。
当編集部は,3月26日発売予定の次号5月号において,これらの状況を伝える続報記事を掲載する予定です。STAP細胞研究について新たな事実が判明した場合には,今後の誌上でお伝えしていきます。理化学研究所には,徹底した調査とすみやかな結果の公表を要望いたします。
科学雑誌『Newton』編集部
2014年3月12日

http://www.newtonpress.co.jp/201404_STAP.html