k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年6月号

軍事研究 2014年 06月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 06月号 [雑誌]

空自新主力戦闘機F-35Aの空戦能力(青木謙知)

F−35の最新情報のまとめ。
地上試験機で見つかったクラックについては、F−35Bのものだが、F−35Aも影響を受ける見込み。現状、設計目標を下回っている重量だが、補強によりこの余裕はなくなるようだ。
武器を搭載するためにもソフトウェアが必要だが、現在800万行のうち76%のカバー状態。2014年はAIM-120に集中して兵器テストが行われる予定だが、これがどうもソフト開発進捗の影響らしい。
運用信頼性は試験状況が厳しく、修理の必要な故障やその作業時間は増加中。見込みの4割弱の信頼性に留まっている。
アメリカ空軍にはF-22があるため、空対空戦闘力の開発が遅れ気味。一方、NATO諸国や日本はF-35に空対空戦闘機としての能力を期待している。ここのギャップが問題。
空自の戦闘機は、平時は機関砲弾とWVR空対空ミサイル2発を搭載。これはF-35でも問題無い。ただし、このミサイルがAIM-9XになるのかAAM-5になるのかはソフト次第。

戦闘機の戦いを制する『空対空ミサイル』の将来(石川潤一)

実戦ではここ15年ほど活躍する機会がなかった空対空ミサイル。その最近の動向の紹介記事。
現役の空対空ミサイルは約30種。
赤外線ホーミング型が大半で、セミアクティブ式は減勢、現代の主役はアクティブホーミング。
今後は戦闘機のステルス性を維持することができる機内搭載が重要。その運用方針からミサイルには小型化と長射程化が同時に求められる。長射程化には二段式も一役買っており、この長射程化ではミサイル防衛にも対応できる。

北朝鮮の新型核兵器/新型ミサイル(黒井文太郎)

北朝鮮のミサイル実験の意図を分析する記事。
3月26日のノドンは、北朝鮮西部からの発射。これは移動発射機による実証となる、など。
グアムを射程に収めるムスダン、米本土を狙うファソンは、まだ実験には到らず。

QDR2014:四年期国防見直し(福好昌治)

3月に米国が発表したQDRの分析記事。
「中国の軍事力増強を警戒する記述が減っている」「歳出強制削減措置の再発動を警戒している」「予算動向が不明確なため、国防戦略も不明確」の3点がポイント。
全体として簡素なものになり、米領土の防衛を最優先と明記した内向きな傾向。
アジア太平洋地域についてはパートナーとしてベトナムが記載されている点が注目。
強制削減措置に関連しては、強めの警告が書かれている。かなり深刻なのだろう

尖閣も射程圏『中国海岸線の戦略防空システム』

米軍のレポートから概要を紹介している。防空といっても、台湾や尖閣諸島を射程内に収めている。

ウクライナはロシア軍に対抗できるか(小泉悠)

ロシアから軍事介入の脅しを受けているウクライナ。その軍事力の状況を分析する記事。
とにかく金がない。中国やロシアは額面予算よりも遙かに巨額の軍事支出をしているが、ウクライナの場合は、予算以下の支出しかされていない。そして汚職。減った支出の少なからぬ部分が横領されているらしい。
1997年の時点でゴルブーリン書記は「大規模戦争の蓋然性は大きく低下し、小規模紛争やウクライナ国家の弱体化が脅威」ということをきちんと策定していた。しかし、この改革は実現しなかった。
2010年にはヤヌーコヴィチ政権がNATO加盟を前提とした国防方針を転換している。
現在は惨憺たる状況で、極右勢力をウクライナ国民親衛隊に取り込んだことも懸念材料だが、本記事中では極右勢力を暴走させないための妥協であると分析している。(そして、実は強行派と暫定政権は仲が悪い)

アメリカ軍歩兵火器大全(2) セミオート狙撃銃とコンパクト分隊支援火器(三鷹聡)

サバイバルゲームの体験を紹介し、狙撃兵の厄介さを語る出だし。その狙撃兵の持つ狙撃銃について。
現代では歩兵分隊の員数が少なくなったため、専門の狙撃手は配置できなくなった(通常での火力が下がってしまうので)。そこで、M21のようなセミオートマティック狙撃銃の出番。これで狙撃も近接戦もこなすことができる。
また運用方法も変化しており、古典的な射手と観測手のペアではなく、射手のみで狙撃班を構成し、複数で一つの目標を狙い、外してもすぐに次を撃つというやりかただそうだ。
また、狙撃銃と突撃銃の外見が似通っているのは、共通部分が多いということもあるが、誰が狙撃手か分からなくするという効果も狙っている。

電気推進のテクノロジー(第1回)(井上孝司)

軍事分野での電気推進について、「鉄オタ」でもある井上氏が解説。
一口で電動といっても、狙いは様々。艦艇用では大きな出力に耐えるためのギアボックスが不要になる点、潜水艦では騒音削減、米海軍のマキン・アイランドでは燃費効率改善、しらせでは、きめ細かい制御とトルク、民航機ではインホイールモーターの採用で燃料節約、など。
他にも油圧と置き換えることで軽量化と整備性向上を狙ったり、戦闘車両では火災対策の面も。