Newton(ニュートン) 2015年 11 月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートン・プレス
- 発売日: 2015/09/26
- メディア: 雑誌
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独特な形は風による振動を抑えるのが目的で、一様だと共振してしまうので高さによって色々変えているというのが基本。
あとは砂漠に建てるための工夫(固い地盤がないので杭つきのいかだで支える構造。これが50万トンのビルを支えている)。なお、ドバイではM5.5より大きな地震は無いということで、免震装置などはない。
ジッダに建設中のキングダムタワー(高さ1000m)も考え方は同じ。(段々形を変える、杭付きいかだで支える)
やはり地震対策が楽なのは建設費にも影響していて、床1平方メートルあたりの建設費が、日本だと40〜100万円なのが、両ビルとも40万〜50万くらい。
高層ビルを実現したテクノロジーはエレベータと鋼(鉄骨)。そのうちのエレベータだが、速度が上がりすぎると人間が気圧の変化にやられてしまう。気圧が上がる方が負担が大きいため、エレベータの最高速度は下りの方が小さい(登りの最速が分速1010m、下りが750m)
キュリオシティ写真集
水関係が色々。単縦に火星の写真を眺めるのも楽しいが、こういう解説記事付きの面白さはまた格別。
今後は山登り(シャープ山)をしながら、地層を順番に解析していく。
イリオモテヤマネコ
魚を捕る連続写真が面白い。熊ではよく見る光景だけれど、普通の猫は水を避ける。
食べ物が少ないため、水棲生物も食べなくてはならなかったから、という説明。
アレルギー治療
アレルギー体質(アレルゲンをつかまえた抗原提示細胞がナイーブT細胞をTh2細胞に変える。このTh2細胞がB細胞を活性化しIgE抗体を放出する。)の人がアレルゲンを受け取るとマスト細胞が炎症性物質を放出するというのが基本的な仕組み。
このどこかを止めれば良い。一つの方法が医師の制御下でアレルゲンを投与していき、慣らしていく方法。効果はあるのだがとにかく実行が大変。このメカニズムが分かればもっと効率的で安全な治療法に繋がるはず。
で、そもそも最初の「アレルギー体質化」の起こる仕組みが最近分かってきた。まず「皮膚の機能が落ちたときに、その皮膚からアレルゲンが入ると問題が発生する」というもの。これはアトピー(痒みで皮膚をひっかくと、皮膚が弱り、弱った皮膚がアトピーを悪化させるという悪循環)の説明にもなる。つまりアレルゲンを入れること自体が即発病ということにはならない。
そしてTh2細胞を抑制するTreg細胞というのがあるのだが、これは腸で造られやすいことが分かった。そこで、腸の中にアレルゲンとTregを増加させる物質とを両方同時に入れるとう方法が考え出された。これでアレルゲンに対応するTh2細胞を抑えるTregを増やすことができるそうだ。
短信
タコのゲノム。「タコのゲノムに全ゲノム重複が起きた形跡がない」というのは面白い。脊椎動物は全ゲノム重複が遺伝子を増やすのに一役買ったが、タコの遺伝子の多さはどのように獲得されたのかは分からない。
癌細胞のあるところに抗がん剤や免疫細胞を送り込むのが有効なのは分かっている。そこで、細胞に磁性粒子を入れて、これをMRIを使って癌細胞のところに移動させるという実験に、イギリスのムタナ博士らが成功した。MRIは広く普及しているので、これは面白い手法。
「人食いバクテリア」。これは俗称で、劇症型の感染症のこと。最近自体は比較的よくあるものだが、最近話題になっているのが「劇症型A群レンサ球菌感染症」。感染力が弱いので傷口から直接入らなければ大丈夫。で、この対策が「傷口を良く洗う」。最近は傷口をあまり洗わないほうが治りが早い、という話も聞くが、やはり状況によりけりなのかもしれない。
かゆみを抑える。アトピーなどでは痒みが症状を悪化させることがあるが、頭皮から電流を流して脳を刺激すると痒みが抑えられるという実験結果が出た。生理化学研究所の柿木教授らの研究で、今のところ副作用の報告はない。