k-takahashi's blog

個人雑記用

美少女美術史

 

美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美 (ちくま学芸文庫)

美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美 (ちくま学芸文庫)

 

 第一章の冒頭が「量産される美少女」。現代のいわゆる「可愛い少女」像というのが確立したのは18世紀から19世紀にかけて。ブグローの「典型的な美少女」像が多数掲載されており、確かに現代はこの流れの上にある。

美少年という捉え方はギリシャ・ローマ時代にまで遡ることができるのだが、「少女の美」というのは西洋美術史では古くからあるものではない。ギリシャ神話にも神々の愛を得た女性は多いが、それは少女ではなく女性として。

 

そんな中で例外的に美少女が活躍するのが「クピドとプシュケー」の物語。ただしこの物語を二人の愛の物語とするとある程度二人を成熟させる必要がある。一方で、冒険ものと捉えると、子供の方がしっくりくる。後者が人気を得たのは18世紀以降のようなので、美少女人気に乗って少女化したという側面も強そうだ。

 

もともと美少年に比べて関心が低く、キリスト教の関係で「処女の純潔=幼い外見」という位置づけでの少女像という流れがあり、そこから18世紀以降に「美少女」が作り出され、20世紀になると「やっぱり性的な意味もあるのでは?」と作品も出てくる。
もっとも、数年前に「バルテュスの絵の展示を止めろ」という騒動が起きているので、「少女像」というのはやっかいなものであるようだ。