k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2023年2月号

軍事研究 2023年 02 月号 [雑誌]

軍事研究 2023年 02 月号 [雑誌]

  • ジャパン・ミリタリー・レビュー
Amazon

表紙はB21で、記事も「登場! 第6世代爆撃機『B-21Aレイダー』」(石川潤一)が掲載されている。B-2Aの課題だった維持管理を改善している。また本誌はB-21とB2の比較写真を掲載し、インテイクが小さくなっていることも示している(但し、まだ2発機か4発機かは分からないまま)。あとはやはり「垂れ目」。

 

ウクライナ関係も色々。
「露宇戦争、ウクライナ軍善戦の理由 」(渡部悦和)は、ロシアの戦いを「超限戦」(人民解放軍の言う超限戦)、露宇戦争は他のドメインから支援された陸戦中心の戦争としている。また、ロシア軍の戦車損失の過半数が開戦50日間に発生していることから戦車の重要性は変わっていないとしている。三段階(キーウを巡る戦い、ドンバスを巡る戦い、ウクライナ軍の反攻)という分類もしている。

「軍改革から探るウクライナ軍の強さ」(小泉悠)は、ウクライナ軍の改革の経緯と状況について地上戦力と指揮統制系統を解説している。2018年の「領土防衛軍」は150大隊を越えており、開戦時点で平時でなかったことが分かる。気が早いが終戦後の体制の話も出ていて、ウクライナが維持できる30万人体制を破壊できる戦力をロシアに持たせないこと、アゾフ連隊や義勇大隊の廃止(国際連携的には廃止したいが、現状では難しい)にも触れている。

ウクライナ支援の法的整理」(稲葉義泰)は、米国のレンドリース法はどんなもので(既にウクライナ支援予算は日本の防衛費を大きく超えている)、返済はどうするのかなどを解説している。また、伝統的な「中立」概念が今回のウクライナではやや変更されており、合法な武力行使をする国家への支援は国際法上問題を生じず、「非交戦国」という位置付けになると整理されている。(日本政府の説明とはちょっと違う)

 

「進化続く『MLRSとHIMARS』」(井上孝司)は先月号の記事の続き。面制圧兵器として始まったMLRSが精密誘導兵器化し、長射程化、ネットワーク化と進む。さらにPrSM化するがMLRS/HIMARSへの搭載はできる。日本の島嶼防衛にとっても重要。

 

 「もっとも警戒すべきはロシア」(黒井文太郎)は、2023年の見通し解説記事だが、「北朝鮮核戦力の阻止は手遅れ、尖閣上陸も」という物騒な副題が付いている。安保理が機能不全を起こしている今、北朝鮮の核実験も中国の偽装漁民による尖閣上陸もロシアの支援によるイランの核武装推進も止められないだろうという予測。