三宅先生の本なので、「メタAI/キャラクターAI/ナビゲーションAI」という区別が出てくる。
コンピュータゲームに使われるAI関連技術を、具体例をあげて紹介している。ここでAIと言っているのはやや広い概念で、モデルの表現(初代シムシティの4層モデルとか)も含んでいる。ゲームAIの話だとパックマンがよく出てくるが、本書はアクションゲームはスコープ外ということで、パックマンのアルゴリズムみたいな話はでてこない。(一番古いのが、シムシティかな)
リアルタイムストラテジーとモンテカルロ法って確かに相性良さそう。
個別のゲームや事例の解説とそれぞれに参考文献紹介があって、そういう意味では教科書的。学生さんとかだとトイモデルを実装してみるという遊びもできそう。
構成として面白いのは、そういう具体的な話を豊富に紹介した後で、戦略AI全体を俯瞰する8章が書かれているところ。その方が分かりやすいということだが、もう一回読み直せという指示でもあるだろう。
そうした抽象化を一度した上で、最後に戦略AIの技法をスマートシティに使えないかという話題になってくる。
生成AIブームの前の2021年の本だが、これが戦略ゲームのAIにどう使われていくのかは数年後の次の本に期待。