k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームジャーナル90号

 

附属ゲームの「孤高のアルンヘム1944」は、ソロ専用のマーケットガーデン作戦のゲーム。ソリテアの場合、敵ユニットの動きをどう制御するかというのが課題になるが、本作では前にプレイされたカードと組み合わせることでランダム性を確保し、処理を簡便化している。英第一空挺師団周りもランダム性によってゲームが壊れないようにする処理がされている。この辺は一度動かしてみたいところ。

 

軍事研究 2024年4月号

 

軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

  • ジャパン・ミリタリー・レビュー
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ウクライナ軍総司令官交代の真相」(小泉悠)は、2月のザルジニー解任関係の解説記事。旧ソ連時代からの指揮統制の変化の解説(かなり大規模な改革を行って旧ソ連型の参謀本部制度を解体し、作戦指揮は総司令官、指令部はフォースプロバイダーという役割に整理)から始まり、昨年の国防指導部の改造(汚職が明るみに出た)を経て、今回の人事刷新に繋がる。
今回のゼレンシキー、ザルジニー対立は、どちらかというと軍事の論理と政治の論理の衝突という面が強く、どちらが良いの悪いのという単純な話ではないようだ。また、長年の宿題(対応し切れていない高級将校の処遇)を一緒に片付ける面もあったようだ。

 

ウクライナに乗り込んだCIAとSAS」(黒井文太郎)は、米英情報機関のウクライナ活動について。本記事では主に狭義のサイバー戦を取り上げている。CIAに関しては、2014年から支援を始めている。面白いのは、保安庁(SBU)のダーティーな活動についてはCIAが距離を置きたがっているという部分で、一般のイメージとは異なってるんだな、と。

 

「なぜ日本の防衛に戦車が必要なのか」(赤谷信之)は、陸自機甲戦力の将来像について。10式戦車については、わが国の国土地形に吻合して開発したもので、「車長がハッチから顔を出して戦闘してはいけない戦車」というのが決定的な違いだそうだ。16MCVについては、戦車削減が避けられないという状況認識の元、機甲化部隊の戦力確保とDNA保存を目指す、でも素人には戦車に見えないように、という意図でスペックを決めたとか。

 

「統合作戦指令部新編で何が変わるのか」(吉岡英之)は、予算案に記載された「統合作戦指令部編成」について。2011年の東日本大震災対応の教訓から軍政と軍令の明確な分離の整備が強く意識されるようになり、ただ、内局が指揮を統合司令官に委ねることに抵抗を感じ、制服組もポスト調整に難色を示すなど難航する。今回の案でも「司令官補佐官」という文官ポストに違和感が残っている。

 

こども家庭庁創設という波乱の舞台裏

 

2021年1月24日に「こども庁」の創設を菅総理に提案、それが1年半で実現するに当たり、どのような経緯があり、どのような障害があり、どのような妥協があり、といったことを当事者である山田議員が紹介している。

 

政策を実現するとはという手順が具体的に書かれており、政治とかの具体的な手順に興味のある人にはお薦め。ときどき変な法律、変な条例、変な条約が作られようとしたる、作られてしまったりして問題になるが、「こども庁」の場合には省庁を新設するという大作業が必要となる(デジ庁も同様のわけで、こちらも当事者がこういう本を書いてくれると面白いのだが)。そういう意味でも「大きな」話となっている。

公約に書き込むための時間制限を意識して動いたり、総裁選を見越して地方議員の巻き込みを図ったり(地方議員票は無視できないとの作戦)。幼保一元化の議論は、これは誰かが便乗して流したのかなとも思うが、そういうのに巻き込まれないような注意もしている。

 

名称についても色々あったのだが、そのベースには家庭での虐待問題がある。

「家庭という場所は、私や周囲の同じ経験をした仲間にとっては地獄だった」とも話しました。そしてその際に、「だから『こども家庭庁』ではなく、『こども庁』ではだめですか?」(No.785)

という事例がある。なので本来ならこども問題に一元的に対応するこの組織の名称に「家庭」を混ぜるべきではない。それでも「こども家庭庁」にしろということになってしまう。ここでは「名前より中身」と割り切って妥協している。

 

一つ不思議だったのがこども基本法周りで、この法律が悪用されるという懸念に対する対応が遅かったこと。女性の人権を口実にした表現規制・思想弾圧を目の当たりにしてきたはずの山田議員が、なぜここへの配慮が後手に回ったのか。表立って言わないのはともかく、そういう懸念に備えていなかったというのは奇妙に感じた。(単純に忙しくて手が回らなかったのか、予想外のところから何かあったのか)