k-takahashi's blog

個人雑記用

デジタルゲーム学研究 第1巻 第1号

 日本デジタルゲーム学会の学会誌の創刊号。広がるのかぽしゃるのかはまだ分かりませんが、とにかくも創刊号発行おめでとうございます。デジタルゲームを専門にし、産業界発展への貢献を謳っているのが特徴ということになるのだろうか。

 個人的には「シリアス・ゲーム」という位置づけは嫌いだし、ゲームの面白さ・楽しさの根本を実際の社会生活にとって有用であることに求めるような安易な逃げ道を作ることになるという点から学会研究のありかたとしても批判的なのだが、「ゲーム脳」などというトンデモが幅を効かせている現在において、そこは学問的位置を認めさせる必要があるということでしかたないか。


 「ゲームという認識の枠組み」(井上明人)は、日本のゲーム研究の先行事例をまとめたサーベイ記事のようなもの。この種の内容について定本が無いのは大問題。
 ところで、本記事には、安田均多摩豊、鈴木、黒田といった、デジタルゲームを語る場合には懐かしい名前も出てくる。文献としては、「SFファンタジーゲームの世界」(安田均、1989)、「ゲーム的人生ろん」(鈴木銀一郎、1996)、「SIMULATOR 12号」(黒田幸弘、1984)などが出ている。多摩豊氏については、コンピュータゲームデザイン教本を引けばよいと思うのだけれど。黒田の文献は全引用文献中で、中沢新一氏のゼビウス論と並んで最も年代の古いものになっている。ログインの創刊が1984年(遊撃手とかBNNも多分その頃)だから、それより前となると月刊ASCIIに小さな記事があったかもしれない程度で、たしかにこの辺が「日本最古近辺」ということになるのだろう。(アスキーオセロリーグの第1回とかの記事を見たら、何かないだろうか?)


 しかし、いまだに "Rules of Play"が訳出されていないというのは、問題だよな。出たときにはすぐにでも和訳が出るような話だったので、それにあまえて放置(一応買ったんです)しておいたら、いつまでたっても出てこない。