k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2007年8月号

 特集は、中露の陸海空戦力について。軍拡著しい両国の現状分析。経済成長を続ける中国、石油高騰で潤うロシア。もともと軍拡志向のある国が金を手にすればやることは一つということのようだが、では具体的にはどうなのかという話。
ロシアの場合は、兵器輸出による外貨獲得・影響力強化という意味合が強い。西側技術を組み合わせて兵器市場の勝者となることが第一の目的のようだ、長年の蓄積のある陸上車両や航空機についてはそれなりに有力だし、実は爆撃機の数では米軍を上回る世界一の戦力を誇る。特に長距離爆撃機+空中発射ミサイルは米国以外ではロシアのみが有している。ただ、最先端兵器については開発できるかどうか疑問な面もあるようだ。
北京政権の方は、多かれ少なかれ世界征服(冗談ではなく、中華思想というのは本来そういうもの)を目指している。大型航空機の開発に乗り出したことが大きく、地域間旅客機ARJ21の組み立て開始、エアバスA320アセンブリー工場起工、など具体的な動きになっている。ただ、現時点ではまだどうやって外国技術を導入し、世界水準に追いつくかというのが課題。こちらの真の問題は、20年、30年後だよな。
この特集は、5年、10年後に見直す必要があると言う意味で重要なのだと思う。


 先日の流出文書の内容を分析した「情報保全隊流出文書の真相」(高井三郎)も掲載されている。まず、入手先についてだが、構成が不完全なことから、内部からの流出ではなく拾いものではないかと推測している。内容については、公然情報を収集まとめたもので、具体的にどうやっているかも解説している。簡単に言えば、情報交流で集めたもの。この活動(反自衛隊運動のとりまとめ)が有効かどうかは別途検証がいるのだろうけれど、少ないとはいえ事件は起きている(旭川防衛庁)のだから、まあ、こんなものなのかな。
 高井氏も書いているが、この活動が「国民を絶えず監視する旧軍憲兵の復活」とは程遠いことだけは確かなようだ。


 短信として面白かったのがタロンの記事(JDWからの転載)。アメリカ海軍爆発物処理技術開発局が2280万ドルでタロン80台の調達を決定し、さらに2000万ドルを修理予算として計上したのだそうだ。イラクやアフガンでは、タロンへの攻撃が増えており、迅速な修理を行わないと爆発物処理の遅延、ひいては兵士への脅威の増加につながるとのこと。少なくとも、現場では敵味方共に有用性を認めているということなのだろう。