- 作者: 江畑謙介
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2008/09/02
- メディア: 新書
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本書で扱っている能力は「弾道・巡航ミサイル防衛」「長距離攻撃能力」「空対地精密攻撃能力」「パワープロジェクション」「宇宙戦」「サイバー戦」の6つ。それぞれ、どういう理由があって必要とされているのか、その能力の世界的な現状はどうなっているのか、日本では今どうなっているのか、の順で解説している。
技術的な制約については世界的な現状の解説の部分に記されており、政治的制約については日本の状態のところで解説されている。そして経済的(予算的)制限は常について回る。 自衛隊批判が目的の本ではないものの、例えばパワープロジェクションのところで、多目的艦の速度がバラバラなのはどういう運用意図があるのか分からないとか、島嶼防衛絡みで空自が対地攻撃能力を持たないのは変だとか、そういった現場レベルから当然あがってくる問題は多く指摘されている。輸送艦「くにさき」の上にプラスチックカバーを掛けられたチヌークが並んでいる写真は、調整不足を示す象徴的な写真なのだろう。
帯にある「納税者と知っておきたい、自衛隊にできること、できないこと」というのが非常に適切な内容のまとめになっていると思う。
「パワープロジェクション」という単語を前面に押し出して、意義と現状をきちんと解説しているのが、一般向けの本としては比較的新しいところかな。
あと、細かい話ですが、179ページに「ときわ型補給艦」と書かれていた。「とわだ型のときわ」のはずで、一か所だけぽつんと「ときわ型」となっていたから、多分校正部分での誤植なのだろう。