k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンド 83号

コマンドマガジン Vol.83(ゲーム付)『ブルー&グレー』

コマンドマガジン Vol.83(ゲーム付)『ブルー&グレー』

 付録ゲームは「Blue&Gray」の4作セット。ゲームシステムの解説と、ゲームから何を得るべきかの解説との2本立て。さらにヒストリカルとの比較や他ゲームとの比較など、かなり気合いの入った構成になっていた。
一方で、南北戦争自体の解説記事は思い切って省略するなどかなりメリハリを付けている。ただ、1ページ記事で良いので、全体図と年表は付けた方が良かったと思う(そのせいか、26ページにはゲティスバーグの戦いを1862年6月と書いた誤植が残ってしまっている)。私は、学研M文庫の「南北戦争*1を引っ張り出してきました。


 ベーシックゲームとしての「ブルー&グレー」のシステム的解説を高梨俊一氏がまず書いている。半分がリジッドZOCの説明、もう半分がスタック容認の意味づけ。リジッドZOCはZOCの分類の一つで、「アクティブZOC」「セミアクティブZOC」「流動ZOC」「リジッドZOC」と大きく4分類されるものの一つだそうだ。私はこういう整理を知らなかったのだが、

  • アクティブZOC ZOCに入ったら移動終了。ZOCからZOCへの直接移動禁止。
  • セミアクティブZOC ZOCに入ったら移動終了。ZOCからZOCへの直接移動可能。
  • 流動ZOC 移動ポイントを余分に消費すれば移動可能。
  • リジッドZOC 敵ZOCにいるユニットは一切移動できない。

と分けるそうだ。スタックを認めるのは、近代以降の軍隊では戦力の集中と分散と扱うのが不可欠だからとのこと。


 各ゲームから得るものについては、それぞれをもっと一般的な軍事課題の現れとして見ることができることを解説している。シャイローは奇襲とモメンタムが描かれており、ラインの守り作戦と類似している。アンティータムは機動性はあるが兵力に劣る軍隊と兵力に勝るが機動性に劣る軍隊との非対称な軍隊同士の戦いが描かれており、東部戦線と類似している。セメタリー・ヒルは主導権を維持することで敵陣を崩す課題があり、アウステルリッツと似ている。チカマウガは、戦闘開始前の機動の重要さを扱っており、マレンゴに似ている。


 付録ゲームの特性に合わせた構成だと思いますが、良かったと思います。リプレイまで望むのはページ的に難しいかな。ASLとヒト電の研究記事も良いです。自分のやらないゲームですが、記事として楽しく読める。


 夏コミで出た同人ゲームがカラーページで紹介されていたのは意外な驚きでした。内田弘樹氏の「東方に戦風は吹く」の第4回は、クルスク戦直前まで。但し、こちらのクルスク戦赤軍が攻勢に出ます。

*1:

南北戦争―49の作戦図で読む詳細戦記 (学研M文庫)

南北戦争―49の作戦図で読む詳細戦記 (学研M文庫)