k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン2009年5月号

Newton (ニュートン) 2009年 05月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2009年 05月号 [雑誌]

 特集は「時間とは何か」。おなじみゼノンのパラドクスから、振り子の等時性、原子時計などなどのエピソードから紹介。中盤は、時間の向きの話題。相対論も量子論も時間の向きを区別せず。そこからエントロピーの解説へ。
 後半は最前線の紹介。
まずは時間の始まり。ビッグバンを始まりと見なす標準的な宇宙論から、無境界仮設(虚数時間が出てくるやつ)、自己創造する宇宙(タイムループ)、ループ量子重力理論(ビッグバウンス)などの概要紹介。
次が時間の最小単位の話。ループ量子重力理論というのには、プランク長を3乗したプランク体積(空間の最小単位)とプランク時間(10のマイナス43乗秒)というのがあるそうだ。最後がインタビュー。リー・スモーリン博士(ループ量子重力理論)のインタビューは、訳が分からないながらも面白い。
 上述のプランク時間という最小単位があるとすると、これは相対論と合わない。相対論では、観測者によって時間の長さが変化するはずだからである。これに対して、光速度不変のような形で最小時間単位不変のようなものが設定できるかもしれないのだそうだ。で、とんでもないのがこの最小時間単位を観測する話。ガンマ線バーストから来る電磁波の速度を測定することでそれが実証できるかもしれないとか。


 本号のもう一つの目玉は、かぐやの成果紹介記事。Scienceの2009年2月13日号に掲載された論文を一般向けに解説したもので、http://www.jaxa.jp/press/2009/02/20090213_kaguya_j.html にある内容をもう少し分かりやすく説明している。

  1. 地下数百メートルにある層状の構造(リッジ)から、地表の収縮(冷却によるもの)が約28億年前よりも後に起こったこと
  2. 重力異常が表裏で大きく異なっており、月の二分性(表裏で大きく構造が異なること)が内部にまで及んでおり、35億年前までは温度も違っていたこと
  3. 地殻に揮発性物質がすくなく、誕生時の月がマグマだった可能性が高いこと
  4. クレーターの数と大きさを精密に分析したところ、月の裏側における火山活動が25億年前まであったこと

などが分かったという。月の起源や進化に関わる話ですね。