k-takahashi's blog

個人雑記用

近代船団護衛方式の誕生

 夏コミで入手した同人誌。第一次大戦中の英国の対通称破壊戦の流れをまとめた一冊。「網で絡めて浮上させて、銛でとどめを刺す」という捕鯨と同じパターンで始まり、船団護衛方式にたどり着くまで。


 おおざっぱな話は知っていたが、ここまで細かい話は知らなかった。1909年のロンドン宣言、それを都合良く解釈したイギリスというところから起こして、第一次〜三次までの通商破壊戦の経緯と休止期の活動、無制限作戦。
 英海軍はまず海を守ろうとし、それが駄目で特定の海域を守ろうとし、それが駄目で航路周辺をを守ろうとし、それが駄目で航路自体を守ろうとし、最後に船団護衛に至る。 そこには輸送船の数の水増しという問題もあったし、ドイツの活動鈍化を戦術の効果と誤認したりという問題もあった。


 返す返すも、この英海軍の失敗まで含めた分析を日本が会得できなかったのが残念。第二特務艦隊が派遣されていたことは有名だし、戦術や規律の面では高い評価を得たけれども、戦略面までは学べなかったようだ。佐藤司令官の著作などは残っていないようだが、書かなかったのか、書けなかったのか、どちらなんだろう。