k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2010年08月号

軍事研究 2010年 08月号 [雑誌]

軍事研究 2010年 08月号 [雑誌]

 冒頭記事は、「外洋海軍を目指す 中国の野心」(野木恵一)。
中国があくまでも陸軍国であり、それがブルーウォーターネービーを目指している現状の解説。面白いと思った指摘が2つあった。
一つが中国海軍の英語名。PLAN "People's Liberation Army Navy"なのだが、直訳すると「人民解放陸軍海軍」という分け分からないことに。
もう一つが「海賊版」について。

欧米の「海賊版」に当たる用語が「山塞」(山賊の根城)であるところにも、中国が海洋国家ではなく大陸国家である本質が現れているように思う。(p.36)


 稲坂硬一氏の「中国の強引な海洋進出」は、中国の対外侵略の歴史と手口を分析した記事。pp.61-62にパターンが書かれていたので引用。

(1)まず、目標とする海域に漁船団が行き漁業をする。
(2)次に海洋調査船がその海域を詳細に調査する
(3)相手国の反応を見ながら、漁船の数を増やす。チャンスを見て環礁などに上陸して漁業基地や避難所を作る。場合によっては国家の標識を立てる。
(4)環礁や島の占有国の漁船などとトラブルが起これば、自国船保護を名目に海軍の艦艇を送り込む。
(5)相手が反撃してくれば、これを排除し、傍観すれば基地を拡張し高床式建造物を作り実効支配する。
この後、相手と優位に立って交渉(必ず二国間交渉)して石油やガス田探査、資源開発を行う、となっている。

なんか、似たようなパターンが進んでるような気がするが。


カラー解説ページは、ヘリ空母について。
ひゅうが型しらね型で何が違うのかの解説が面白かった。離着陸時に、しらね型では水平線が隠れてしまうというのは知らなかった。それは確かに厄介そうだ。ただ、あの大きさ(全長200m)でも、チヌークの扱いは大変(ローターを外さないとエレベーターに乗らない)だとか。


『ロシアの戦略兵器「グロナス衛星網」』(鈴木基也)は、GPSを脅かすまでに成長したロシアの測位衛星網の紹介。プーチンの肝いりで進められているプロジェクトで、すでに21基が飛んでおり、ロシア全土のカバーは済んでいるのだそうだ。部分的にはGPSを上回る部分もあり、国際協力も進んでいる。
但し、衛星はともかく民生用の部品(チップセットとか)をロシアが独自で作るのは無理。そこでその辺りは欧州メーカーの取り込みを狙っているようだ。

 すでに21基というのには少々驚いたが、ちょっとググってみたら、こんなニュースも出てきた。

­Russia has threatened to block imports of GPS enabled mobile phones unless they are able to connect to its own satellite navigation system - known as GLONASS. The chief executive of oil-to-telecoms holding company Sistema, which is developing GLONASS, said the firm had held conversations about the technology with manufacturers such as Nokia, Siemens and Motorola.

Cellular-News

衛星測位機能を持つ携帯は、GLONASSに対応しない限りロシアへの輸入を認めないとして各メーカーに圧力をかけており、具体的には、ノキアシーメンスモトローラの名前が挙げられている。