k-takahashi's blog

個人雑記用

ネットで成功しているのは<やめない人たち>である。 〜 「続ける」と「やめない」の違い

ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である

ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である

この本の目的は、「よくわからない人たち」にさらに「勝手にこうなった」ことを聞くという、実に曖昧なことに挑戦しようという本です。このあいまいなことだらけに囲まれている状況で、ただひとつだけはっきりしていることがあります。「よくわからない人たち」は厳然と存在しているということです。(p.10)

いわゆる「アルファブロガー」の人たちに、twitter経由でアンケートを依頼し、それとまとめた一冊。集めた回答が全部載っているので、そこを眺めるのも一つの面白さ。


 さて、著者もその中から著者なりの分析をしている。そんな中から、面白いと思った部分を引用。

仮に、一つの情報が10センチの高さであった場合と、1ミリの高さであった場合を想像してみましょう。同じ1メートルの高さに到達するために、10センチの場合には10個で結果に到達します。しかし、1ミリの場合には1000個ないと結果には到達しません。つまり、1ミリの方が情報の数の密度としては、100倍になるわけです。
これが、コミュニケーションの親密さや頻度といった厚みとは違う、情報としての厚みです。(p.123)

鉄板と電話帳の違いみたいなものなのかな。

デイリーポータルZにしても、「Webやぎの目」にしても、「外で起きていることを、ネットに持ってこよう」が基本にあるんですよね。後付けですけど。外にあるおもしろいものとか、変わったものをネットで紹介する。「現実をネットに変換する」のが好きなのかな、とよく思います。
そうすると、地図は外の世界に絶対くっついている情報なので、インデックスというか、一覧の代わりに使うには一番いいんです。(p.149)

言葉でうまく説明しちゃうと、エッジが取れちゃう。本当はおもしろいだけでやってるのに、「役に立つ」とか、そういうまじめな引力に負けちゃう。
まじめなことって魅力的じゃないですか。「頭がいい」と思われたりとか。そういう魅力に負けちゃうと、「いや、おもしろいじゃないですか」ってずっと言い続けるのはバカみたいで勇気がいる。(pp.150-151)

いわゆるマッシュアップが一般化したのはGoogleマップの功績が非常に大きいと思います。(中略)Googleマップ前後、というのははっきりしていると思うんです。(p.160)

この辺はGoogleマップの影響の話から。アンケートでもGoogleマップインパクトの大きさは指摘されている。いわゆるリアル・ヴァーチャル連携がもっとも自然に出てきているのがこれ、ということなのだろう。


 そして、Googleマップ開発者へのインタビューもある。

ストリートビューで駐車場の入り口がどうなってるかを確認するなんてのは、上から見ただけでは全然わからないですから。ストリートビューはその技術的な障壁をひとつ取っ払った、地図というものを実際、将来そこへ行ってみるような見方ができるインターフェースとして提供できた。世界中どこでも見えると言うことだけじゃなくて、「地図は上から見るものだ」という概念を取っ払ったというところに、価値はあるのかなと思ってます。(p.177)

いわば、地図の再定義といったところなのかも。


 さて、本書のまとめの部分ではログの話が出てくる。
まずナップスターを「ログ」の観点から捉え直す。

テクノロジーアーキテクチャー・コミュニケーション、ナップスターにはそのすべてがありました。(p.248)

そのとき各ユーザがやっていたのは自分の「ログ」の公開と共有だったと。
だからログを作るのはやめるのは良くないということになる。

ログ的に考えると「続ける」と「やめない」は違う(p.250)

無理に続けなくてもいいが、やめるのは勿体ないということになる。
そして本書の題名の「うまくいく」をもう一度説明する。

ログ的に考えるということができないと、ネットでは事がうまく運びません。それは何がうまくいくとか、何が成功するとかいう意味ではありません。ここでいううまくいくとは「ネットらしく」事が動くということを意味しています。
・なぜ、プログラマーは無料でソフトを公開するのか?
なぜ、文章を書くことでご飯を食べている人が、ブログで直接お金にならない文章を書き続けるのか?
・なぜ、映像をYouTubeで公開するのか?
それは公開することで、お金以上の何かを公開した人のところに運んでくれるからです。(p.251)


 梅田望夫的なきちんとした論理とか結論とかは無いけれど、つかみ所のないもののつかみ所の無さを読んだようなちょっとおもしろい読後感が得られる一冊。著者はログというキーワードで最後をまとめたけれど、何をまとめとするかは、それこそ読む人次第。


私? 私は、「やめない」のは大事なんだ、こんな場末のブログだったそうなんだ、と自己正当化しておくことにします。(はてなに移ってきて、もう5年。とりあえず<やめない>はできている。前身のウェブぺージは1997年5月スタートだから、10年以上ってことになるわけか。ログっていう意味では、前身のコンテンツもフォーマット変換してこっちに持ってきた方がいいのかな。)