k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームジャーナル 41号

ゲームジャーナル41号 ワーテルローの落日

ゲームジャーナル41号 ワーテルローの落日

付録ゲームは『ワーテルローの落日』(西川裕)。アドテクの『アウステルリッツの太陽』がベースになっているワーテルロー戦のゲーム。デザイナーズノートにはルール差分についても記載されている。
ヒストリカルノートが、新しい知見を中心にしたもので、従来説との差分が書かれているのが面白い。例えば

  • 通説では泥濘で砲兵の移動や砲撃効果に難があるため開戦時間を遅らせたとされるが、これは疑わしい。むしろ前線への部隊の移動が遅れていることが理由だった。(p.20)
  • 通説ではこのときオランダのバイラント旅団(第2ネーデルラント歩兵師団の第1旅団)が尾根の南側にいて大ダメージを被ったとされるが、疑わしい(p.21)
  • 通説ではウェリントンによる命令とされることが多いが、ウェリントンは騎兵をまったく指揮していなかった。(p.22)

など。


『第二次大戦 各国軍隊部隊編成研究シリーズ』(古谷晋作)は新連載。今回はイタリア軍歩兵がなぜ弱かったのかについて。氏はここで装備に問題があったことを指摘している。

実はイタリア陸軍師団の本当の弱さの原因は、歩兵用装備を個別に検討していくと明らかになるのであるが、歩兵装備の恐ろしいほどの欠陥にその問題の本質がある。歩兵分隊が装備するカルカノM1891小銃が欠陥品であったこと。歩兵分隊が装備するブレダM30軽機関銃が欠陥品であったこと。歩兵大隊重火器中隊の装備する重機関銃が欠陥品であったこと。歩兵大隊重火器中隊の装備する軽迫撃砲の火力が不足していたこと。収録手榴弾であるM35手榴弾に動作不良が頻発したこと。の5点にその問題の本質がある。(p.52)

これじゃ弱いのも当然だ。そして、これらの置換する装備をドイツが提供することの可能性を検討している(モーゼル49万挺、MP38/40短機関銃3万5千挺、MG34/42軽機関銃1万7千5百挺、を供与)。 



前号の付録ゲーム「日本海決戦1905」のデザイナーズノートとプレイヤーズノートが掲載されている 。VASSALを使ってデザインしたとか面白い。
ワンサイドゲームだった史実があるのがゲーム化における難しさではあることも指摘している。