- 出版社/メーカー: ジャパンミリタリーレビュー
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: 雑誌
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V-22オスプレイ
青木謙知氏の記事。オスプレイのメカニズム、開発経緯、事故内容の解説記事。この雑誌を読むような人が危険デマに引っかかっているとは思えないけれど、事故の解説は便利。
メカニズムと操縦方法の解説は興味深いが、操縦桿、出力制御レバー、ラダーペダルの3つで、操作と機体反応の関係は通常のヘリ・固定翼機と同じとのこと。
オートローテーション問題については、2002年の国防総省の報告書に
安全に着陸するためのオートローテーション機能は、もはや公式の要求にはない。ティルトローターというハイブリッド機の特性から、オートローテーションによる安全な着陸は削除された。(p.41)
と書かれていると指摘している。(そもそも、当初運用要求にもない、とも)
オスプレイについては、石川巌氏の記事中の
この友人も公の文章では同機にけっこう厳しいタッチで描いている。(p.89)
という記載が気になった。おかしいと思いながら、変な記事書いているわけね。(この一文を書くだけ、石川氏はまともと言えるのかもしれない。)
危機に瀕する第5世代戦闘機F-35
阿部琢磨氏の記事。F-111の例を出し、スケールメリットや共通化の危険性を指摘している。他にも色々と問題点を指摘しており(納期遅れ、代替エンジン、ソフトウェア、ミッションシステム、HMD、ALIS)整理になると思う。(深刻度については記事からはよく分からず。)
ヘリ型無人機の潮流
石川潤一氏の記事。各国のヘリ型無人機の紹介記事。
米軍のRQ-8ファイアウスカウト、MQ-8B(多用途型)、MQ-8C(ベル407の改造型、ほぼ別機体だた
がシリーズ的な命名になっているのは議会対策らしい)、無人K-MAX(輸送型。2.5の吊り下げ能力)、AH/MH-6Xの無人化、MQ-18ハミングバード(特殊作戦用に開発中)。
欧州は、オーストリアのシーベル社のカムコプターS-100(中国が買った模様)、タノン300(小型。開発中)、バンドワゴン(SW-4の無人化版)。
また、中国は独自開発もしている。X200という名前で二重反転ローターを持ちペイロードは100kg。
北朝鮮〜中国ミサイルコネクションと李英鎬総参謀長失脚の衝撃
黒井文太郎氏の記事。
前半は北朝鮮の決議違反問題についての国連安保理の報告書紹介。先月号でも紹介されていた中国製輸送起立式発射機(TEL)のことなどがあるが、加えてシリアとイランの関連も。ただ黒井氏によれば「最大の抜け道は中国」となるようだ。
後半は、金正恩体制内部の権力闘争について。先軍政治から党主導経済改革へと見ているようで、張成沢(金正恩の義理の伯父)によるライバル追い落としという流れ。
ティーガー・エース カリウスの戦場
斎木伸生氏のエストニア戦跡レポート。ティーガー重戦車のエースとして知られるオットー・カリウスが活躍したシニマエが対象。
戦史記事で出てくる場所が、本当に狭いところだということが書かれている。
実際とんでもない田舎なのだが、ここにはヴァイヴァラ・シニマエ博物館がある。
この博物館のえらいところは、地域歴史研究に力を注いでいることだ。それがなぜ重要かというと、彼らは歴史が奪われてしまったからだ。たとえばシニマエの戦いにしてもソ連時代であれば、それはソ連によるファシストからの解放戦だった。しかし、エストニアが独立した今、それは改めてエストニアを守るための愛国的な戦いと位置づけることが可能になったのである。(p.240)
「擲弾兵の丘」には、当時戦ったSS義勇兵を悼む記念碑が建てられている。この記念碑を前に博物館の研究員がアメリカ兵に向かって語った話が忘れられない。「あなた方はナチといえば悪人だと思い込んでいるけど、ここでは違った。彼らはていねいにドアをノックして家を訪れ、子供達にはチョコレートをくれた(彼女の祖母の経験)。ロシア人は違う。彼らは家に押し入り、殺し、奪っただけだった」(p.241)