k-takahashi's blog

個人雑記用

レベルアップのゲームデザイン 〜これ一冊でゲームデザインのすべてがわかる!

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

ゲームデザインって、げどうやって勉強すればいいんですか?
本書が、その答えです。
(監訳者前書きより)

上記の「ゲームプランニングの教科書」があくまでも入門だったのに対し、こちらは本気のプロ・学生向けの本。帯の「すべてがわかる」は、あながち誇張でもない。もちろん、最新動向までは入っていないけれど、相当の部分はカバーされている。べき・べからずがノウハウとして明示されている、具体例が豊富、図が多用されていて目を惹く、というあたりが、きちんと「プレゼンのコツ」というところに繋がっているところも良い。
(文字だらけでだらだらと長い企画書/仕様書なんて読みたくないよね? なら、こういう風に書こうよ、という感じ。)
500ページ近くある本で、さすがにボリューム相応の読みではあるけれど、読みやすく分かりやすい。これで、とりあえず共通認識持っておいて、ゲームの中身の話したいよね、というのが根本にあるんだろうな。

レーニングレベルはいちばん先に作成するべきです。(p.241)

こういう話とか大変だったんだろうと思う。(そして、そのあとに書かれている「もっといい」方法も)
あとは、「プレイヤーが楽しいと思うのは?」という問いかけが何度も出てくるところとかも良い。逆説的ながら見落としがちなことなんだろうな。


一度は一通り読んでおいて、あとは辞書(参考書)的に時々ひっくり返す本。プロはこの辺は全部頭に入っているだろうし、欧米のある程度の規模の会社だと、こういうのを前提にした資料フォーマットやワークフローが出来ているのだと思う。
逆に言えば、そういうレベルのノウハウ集。


最初、メモを取りながら読んでいたのだけれど、各章末ごとに1ページくらいのまとめがついていて、これが実に的確。立ち読みするなら、この「まとめ」のところだけパッと読んでみると良い。で、このまとめを実例豊富、イラストたっぷり、ユーモア満載で解説しているのが本文の部分。

他にも、色々なドキュメントが、テンプレートや実例の形で掲載されている。GDD、ワンシート、テンページャー、ビートチャート、ハイレベルコンセプトピッチ、などなど。

レベルという言葉の混乱

書名に関わる部分で、面白かったのでちょっと引用。

レベル
 マップやロケーションを表します。「Death Star(デス・スター)レベルまで来てるなら、ゲームクリアはもうすぐだよ」
そして
レベル
 開発者によって生み出された用語で、特定のゲームプレイ体験によって区切られた物理的な空間を表します。「鉱山のトロッコのレベルで10回以上は死んだよ」
そして
レベル
 プレイヤーの進行度を表す単位。「『テトリス』でレベル20までいきました」
さらには
レベル
 獲得スコア、獲得経験値、獲得スキルなどに基づいたプレイヤーへのランク付け。キャラクターの進行度と成長度を記録するための用語。次のように使用します。「『WoW』の3人目のキャラクターをやっとレベル70まであげたよ」。この文脈におけるレベルは、RPGで最も一般的に使われます。


レベルという単語に4つの定義がある理由として、テレビゲーム業界の開発者の語彙が少ないことが考えられます。
他の理由としては、「レベル」という用語があまりに長い間さまざまな文脈で開発者達に使われてきたため、他の呼び名を使おうとみんなに訴えるにはあまりにも遅すぎるということが言えます。
(中略)
さらに定義を複雑にしているのが、レベルのことをレベルと呼ばない状況です。レベルという用語と使う場面で別の呼び方をするゲームをたくさん遊んできました。ラウンド、ウェーブ、ステージ、悪と、チャプター、マップ、そしてワールドです。しかし、これらの用語にもさらに独自の定義があります。
(pp.201-201)