Newton (ニュートン) 2013年 07月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2013/05/25
- メディア: 雑誌
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特集:生命
確かに分かりやすくまとまっていると思う。
トピックとして面白かったのは、
クマムシも「あまりに急に乾燥させると、生命活動を再開できない」とか
「散逸構造」の説明とかの部分。エントロピーを低く維持するという説明から台風などの「散逸構造」に繋げるところとかの部分。
あとは、人工生命の様々なアプローチ(吉川研一教授による微少菅でのリズミカルな動きの再現、クレイグ・ベンター博士の合成DNAによる細胞作成、菅原正教授による酵素を袋詰めした人工細胞、有田隆也教授による人工生命)がまとまっていて楽しい記事だった。
カブトムシの角(p.8)
カブトムシの遺伝子 dsxから作られるmRNAを切断してみたら、雄のカブトムシの角が短くなり、雌のカブトムシには短い角が生えた、という記事。
同じ遺伝子の働きが雌雄で逆になるというのが面白い。
記事によれば、雄は雌獲得競争のため角を大きくし、雌は角のための資源を出産に費やすため角をななくした、という進化をしたそうだ。
同じメカニズムが、雌雄で形の異なる他の昆虫にもあるかどうか、というのが次の研究とのこと。
太陽熱発電(p.12)
日本では、合理性とはほど遠いところの決定の都合で太陽光発電がもてやはされているけれど、こちらは太陽熱発電の記事。一旦熱をため込んで、その熱でタービンを回す仕組み。太陽光と違って、蓄熱というステップが入る分だけ、多少の時間的シフトが可能になる。ということで、電力確保という点からは、太陽光よりも優れている点もある。(ちょっと日本向けではないかな)
ケガはどうして治るのか(p.100)
ケガが治るメカニズム(出血して、炎症が起きて、落ち着いて、という流れ。)の解説。
炎症反応というのは、
傷ついた部分や、傷の周囲の組織に含まれる脂肪細胞から種々の化学物質が放出され、炎症反応の引き金を引く。化学物質には、神経にはたらきかけて痛みを引き起こすものや、血管を膨張させて血流をふやすもの、白血球を呼び寄せるものなどが含まれている。
つづいて、血球に含まれる白血球(単球、好中球など)や赤血球、血小板が様々な反応を起こす。
と解説されている。
いわゆる「湿潤療法」が有効な理由も、「治療というのは細胞や化学物質の反応。だから、水分の中の方が早く進む」という明快な解説。感染対策についても、白血球の活動が活発なのでリスクは低い、というのが最近の見解らしい。