k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンドマガジン 87号

コマンドマガジン Vol.87(ゲーム付)『バルバロッサ:独ソ戦1941-45』

コマンドマガジン Vol.87(ゲーム付)『バルバロッサ:独ソ戦1941-45』

 付録ゲームは、WorldAtWar誌の「バルバロッサ」。ざっとルールブックを見ると、16ページのルールブックがびっしりと文字で埋まっている。結構細かいルールも多い。ただヘクスサイズは大きめ(ワルシャワからモスクワまでは13ヘクス)です。


 記事の方の目玉は、大木毅氏の「SS中佐パウル・カレル」でしょう。彼がSSのエリートであったことを示し、著作には歴史歪曲の意図があったと断じている。(Wigbert Benzが2005年に発表したカレルの伝記によるもの。ただ、調べた限りでは、この本は独語版しかなく、評価等はよくわからない。)
 ただ、記事の内容が正しいとするならば、

しかしながら、単なる調査不足や事実誤認にとどまらぬ、歴史歪曲の意図が分かった以上、今後カレルの著作を資料として用いることはない……いや、できないだろう。(p.27)

は言い過ぎだと思う。それを言ったら、ガリア戦記神皇正統記が資料でないということになってしまう。歴史書に意図があるのは当然なのだから、普通に参考資料として使えばよいのではないだろうか。大木氏も「虚偽を書いたのではない」ことは認めているのだし。

 私がカレルの本を初めて読んだ時(1980年代)にも、バイアスのかかった部分があることは指摘されていましたし、読んでいてそういう感覚もありました。一方で、彼の著作に圧倒的な面白さがあることもまた事実。それはそれでいいのではないかと。
欧州にとってはナチスは現代の問題かもしれませんが、正直なところ日本にとってはナチスは歴史上のイベントにすぎないわけで、あまり神経質になりすぎるのもどうかと思います。(コミケットナチスネタを禁止する必要は無い。一方で、ミュンヘン旅行に行ってナチスのコスプレをするバカは強制送還でよし。と思います。)


 アリューシャンについての記事は前後編の前編。次号の付録ゲームへの前振りでしょうね。


 システム考察は、徳岡正肇氏の「Sins of a Solar Empire」紹介が面白かった。
従来のRTS(RealTimeStrategy)ゲームが、短時間志向のため軽視していた「戦略的采配」「索敵」「予備」という概念をたくみに取り込むことに成功していることを指摘している。いずれもボードのSLGでは重視されているもの。本作の成功を、クロスジャンルによる温故知新の成功例だと捉えている。なるほどね。